ニュースリリース - 2016年9月13日

シノプシス、低消費電力の組込みアプリケーション向けにARCセキュリティ・プロセッサを提供

サイドチャネル攻撃、知的財産の盗用、データ改ざんなどからシステムを守る SecureShieldテクノロジを組み込んだDesignWare ARC SEMセキュリティ・プロセッサ

概要

  • ますます高まるセキュリティ上の脅威からシステムを守る最先端機能を搭載した超低消費電力プロセッサ ARC SEM
  • スマートメーター、NFC決済、組込みSIM(eSIM)などの金銭的な取引を伴うアプリケーションに対するサイドチャネル攻撃への防御を実現する、インストラクション実行タイミングと消費電力のランダム化機能
  • 専用ハードウェアではなく、安全が確保されたソフトウェア環境内で実行される暗号化機能
  • モリー保護ユニットの強化とSecureShield Runtime Libraryにより、セキュアな実行環境(TEE:Trusted Execution Environments)の構築を容易化


2016年9月12日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – 
シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、スマートメーター、NFC決済、eSIMなどの低消費電力が要求される組込みアプリケーションのためのセキュリティ・プロセッサ DesignWare® ARC® SEM110ならびにSEM120Dを発表した。シノプシスのSecureShieldテクノロジを組み込んだこれらのプロセッサを用いることにより、ソフトウェアやハードウェアに対する攻撃、あるいはサイドチャネル攻撃からシステムを守り、またセキュアな実行環境とノンセキュアな実行環境を分割管理してTEEを構築することが可能となる。ARC SEMプロセッサは、超低消費電力かつ高性能で、実行されたインストラクションの解読を困難にするインストラクション実行サイクル均一化や、消費電力のランダム化などの最先端のセキュリティ機能を提供する。またSecureShield Runtime Libraryにより、セキュアな環境でデータの保管や処理を実行すべくTEE内の領域分割と切り離しが可能となる。こうしたハードウェア面・ソフトウェア面でのセキュリティ機能の組み合わせにより、開発者は、より高度なセキュリティ対策を施したSoCをIoTやモバイル機器向けに提供できるようになる。

セキュリティ・プロセッサ ARC SEM
DesignWare ARC SEMプロセッサは、拡張性の高い32ビットARCv2インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)をベースに、面積と電力効率の最適化が施されたプロセッサ・ファミリーである。SEM110には、さまざまなセキュリティ・テクノロジが組み込まれており、スタンドアロンのセキュア・コア、もしくは単体でセキュア領域/ノンセキュア領域の両方を実行できるコアとして実装することができる。ARC SEM120Dには、DSP機能も組み込まれており、医療機器やIoT機器に必要とされるセンサー処理、音声認識といったアプリケーションに適している。主要な機能は以下のとおり。

  • インストラクション実行サイクルの均一化や消費電力のランダム化機能がサイドチャネル攻撃に対する防御を実現し、ハッキングに対する耐性が向上
  • メモリー保護ユニットの強化とSecureShield Runtime Libraryにより、TEEの構築を容易化
  • インストラクションとデータの暗号化による耐タンパ性パイプライン、アドレスのスクランブル処理、ならびにデータ整合性チェック機能により、外部からの攻撃や知的財産の盗用からシステムを保護
  • 不正な設定変更により引き起こされるシステム障害を検知し対策を講じるウォッチドッグ・タイマーを内蔵
  • ARC SEM120Dでは、より厳重なセキュリティとリアルタイム処理が要求されるアプリケーション向けに、DSPインストラクションとMUL/MACユニットを提供


Riscure North America社 社長 Mats Nählinder氏は次のように語っている。「セキュリティ侵害は急増し、世界中でその被害のニュースがトップを飾るようになってきており、SoC開発プロセスやテストを通じて正しい予防措置を講じる必要性の高さが再認識されています。当社は、セキュリティ・テスト機関として、またサイドチャネル攻撃耐性テスト装置のリーディング・カンパニーとして事業を世界展開しており、ハードウェアやソフトウェアの弱点を狙った悪意ある攻撃に対するセキュリティ対策ソリューションの評価も行っております。DesignWare ARC SEMプロセッサを用いることにより、開発者は、こうした攻撃から組込み機器を守るための防御耐性を整えることができます」

ARCプロセッサ向けソフトウェア開発ツールならびにエコシステム
ソフトウェア開発者はembARC Open Software Platform を通じて、セキュリティ・トランスポート・プロトコルなども含め無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスが可能となっている。バックグラウンドで動作して、セキュアな環境でデータの保管や処理を実行すべくTEE内の領域分割と切り離しを行うSecureShield Runtime Libraryも提供されている。

他のARCプロセッサ同様、ARC SEMプロセッサも下記のようなソフトウェア/ハードウェア開発ツール・エコシステムを活用できる。 

  • ディープ・エンベデッド・アプリケーションに最適な高度に効率化されたコードを生成するMetaWare Development Toolkit
  • 早期ソフトウェア開発を促進する高速インストラクション・セット・シミュレータARC nSIM
  • 100%サイクル精度のシミュレーション機能によりソフトウェア最適化とシステム検証を支援するARC xCAM

また、シノプシスのハードウェア・プロトタイピング・システム HAPSを活用すれば、ARC SEMプロセッサ向けソフトウェアの早期開発開始、ハードウェア/ソフトウェア統合、システム検証が可能となる。

SecureShield テクノロジを組み込んだARC SEMプロセッサは、シノプシスが提供している包括的なセキュリティIPポートフォリオの一角を担うソリューションである。その他には、ARC EMプロセッサ向けのオプションであるEnhanced Security PackageならびにCryptoPack、暗号化用IPコアならびにソフトウェア・ライブラリ、プロトコル・アクセラレータ、ルート・オブ・トラスト、プラットフォーム・セキュリティ、コンテンツ保護用IPコアなど多岐にわたるDesignWare Security IPソリューションなどがある。

シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeterは次のように述べている。「セキュリティ上の脅威が広がりを見せている昨今、サイドチャネル攻撃、知的財産の盗用、その他の被害を最小化するためには、SoC開発の段階でセキュリティ対策機能を組み込んでおくことが非常に重要となります。今回のARC SEMプロセッサによるセキュリティIPソリューションの拡充を通じ、シノプシスは、開発者の皆様が、チップ開発にあたっての消費電力や面積の非常に厳しい制約をクリアしつつ、必要なセキュリティ機能を組み込んでいけるようご支援してまいります」

提供開始時期ならびに参考情報
DesignWare ARC SEM110ならびにSEM120Dプロセッサは、2016年10月の一般提供開始を予定している。

DesignWare IPについて
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIPのリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IPプロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoCへの統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designwareより入手可能。

シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、http://www.synopsys.com/japan より入手可能。

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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標です。 
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先>

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充 
TEL: 03-6746-3940  FAX: 03-6746-3941