最新の32/64ビットARCv3命令セット・アーキテクチャをベースにしたDesignWare ARC HS6xプロセッサアドレス可能なメモリー空間を拡張し、最大12コアで構成可能
概要
2020年4月7日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、高性能な組込みアプリケーション開発を可能にするDesignWare ARC HS5xならびにHS6xプロセッサIPファミリーを発表した。シングルコアからマルチコアまで拡張できる32ビットのARC HS5xならびに64ビットのHS6xプロセッサは、いずれも新しいスーパースカラーARCv3命令セット・アーキテクチャ(ISA)を実装しており、16nmプロセスでコアあたり8,750DMIPSというARCプロセッサ・ファミリーの中でも最高の性能を提供する。
この最新プロセッサのマルチコア・バージョンは、革新的なコア接続構造を持っており、コア間のコヒーレンシを維持して最大で12コアを搭載でき、最大16のハードウェア・アクセラレータと接続できる。また、シンメトリック・マルチ・プロセッシング(SMP)リナックスや他のハイエンドOSに対応するため、リアルタイム・オペレーションや最先端のメモリー管理ユニット(MMU)にコンフィギュレーションすることができる。さらにソフトウェア開発を短期化するため、非常に効率の高いコード生成を実現するARC MetaWare Development Toolkitが、HS5xならびにHS6xプロセッサをサポートしている。SSD、エンジン制御/インフォテイメント、ワイヤレス・ベースバンド、ワイヤレス通信制御、ホーム・ネットワーキングといった多岐に渡るハイエンド組込みアプリケーションで求められる高性能/低消費電力/小面積を実現できる最新プロセッサ・ファミリーである。
Starblaze社 チーフ・サイエンティスト Bruce Cheng氏は次のように語っている。「ハイエンド組込みアプリケーションの開発者は、消費電力や面積の制約を達成しつつ、より大きなメモリー空間にアクセスでき高い性能を発揮できる製品を開発するというプレッシャーにさらされ続けています。シノプシス社の新しい32ビットのARC HS5xならびに64ビットのHS6xプロセッサのマルチコア構成の活用により、当社では新次元の消費電力性能を持つ製品開発が可能となるでしょう。これは、現在提供されている他のどのプロセッサでも実現できません」
Linley Group社 シニア・アナリスト Mike Demler氏は次のように語っている。「ネットワーキング、ストレージ、ワイヤレス機器といったハイエンドの組込みシステムは複雑化の一途を辿っており、その実現には電力効率を犠牲にすることなく高速動作でき、より優れた機能を提供できるプロセッサが不可欠です。シノプシス社のARC HS5xならびにHS6xはこうしたニーズを満たしてくれるだけでなく、高度なコンフィギュラビリティと拡張性も提供しているため、将来の組込みシステムで求められることになる要件にも対応できるプロセッサです」
ARC HS5xならびにHS6xプロセッサは、32ビット/64ビット命令を完全実行できる新しいARCv3 ISAをベースに開発されている。高速動作の10ステージ・デュアル・パイプラインを実装しているため、消費電力や面積の増加を押さえつつ、より多くの論理ユニットを並列動作させることができる。HS5xプロセッサの32ビット・パイプラインはARCv3の全ての32ビット命令を実行でき、HS6xプロセッサの64ビット・パイプラインならびにレジスター・ファイルは32ビットと64ビットの命令を実行できる。またARC HS6xは、52ビット・フィジカル・アドレスならびに64ビット・バーチャル・アドレス・スペースをサポートしているため、必要な或いは今後必要になるより大きなメモリー空間へのダイレクト・アクセスを実現でき、128ビットの読み込み/格納で効率的なデータ転送を可能にする。ARC HS5xならびにHS6xプロセッサのマルチコア・バージョンは、最先端の広帯域プロセッサ間接続機構を実装しており、非同期クロックならびに最大800GB/秒の内部データ転送をサポートしているため、タイミング収束を容易化できる。各コアはそれぞれのパワー・ドメイン内に置くことができ、他のコアとの非同期関係を維持できるため、フィジカル設計やタイミング収束が一層容易となっている。新しい128ビット・ベクター浮動小数点ユニットにより、2サイクルのアキュムレーション・レイテンシでF16、F32、F64オペレーションをサポートしている。他のARCプロセッサ・ファミリーと同様に、HS5xならびにHS6xは、コンフィギュレーション性が非常に高くARC Processor Extension(APEX)テクノロジを実装しているため、開発対象のアプリケーションで必要とされる固有の性能/消費電力/面積の実現に向けたカスタム命令に対応できる。
ARC MetaWare Development Toolkitが両プロセッサをサポートしている。MetaWareは、両プロセッサのスーパースカラー・アーキテクチャ向けに最適化が施された先進のC/C++コンパイラ、ソフトウェア・コードのデバッグやプロファイリングを実行するマルチコア・デバッガ、HW/SW開発前段階での高速命令セット・シミュレータを提供している。デザインの最適化と検証のためのサイクル精度シミュレータも提供している。サポートしているオープンソース・ソフトウェアには、リアルタイムOSのZephyr、最適化されたLinuxカーネル、GNU Compiler Collection(GCC)、GNU Debugger(GDB)ならびに関連するGNUプログラミング・ユーティリティなどがある。また、サードパーティ・パートナー各社から各種のHW/SWツールも提供されているため、開発プロジェクトに最も適した、また最も使い慣れたツールを柔軟に選ぶことができる。
シノプシス IPマーケティング&ストラテジ担当上級副社長 John Koeterは次のように述べている。「SSD、ワイヤレス通信制御、ホーム・ネットワーキングといった組込みアプリケーションは複雑化する一方であり、低消費電力/小面積の厳しい要求を達成しつつ性能を大幅に向上させたハードウェアが必要とされています。ARCv3 ISAならびにARC HS5x/HS6xプロセッサのご活用により、開発者の皆様は、今日のそして将来の組込みアプリケーションで求められる厳しい性能要件を達成することが可能となります」
提供可能時期ならびに関連情報
DesignWare ARC HS5xならびにHS6xプロセッサは、2020年 第三4半期の提供開始を予定している。
新たに加わるプロセッサは、ARC HS56、HS57D、HS58、HS66、HS68ならびにそれらのマルチコア・バージョン(HS56MP、HS57DMP、HS58MP、HS66MP、HS68MP)である。
詳細は下記より入手可能。
https://www.synopsys.com/dw/ipdir.php?ds=arc-HS5x-processors
https://www.synopsys.com/dw/ipdir.php?ds=arc-HS6x-processors
DesignWare IPについて
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIPのリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IPプロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoCへの統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。
詳細情報はhttps://www.synopsys.com/ja-jp/designware-ip.htmlより入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
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