ニュースリリース - 2015年11月18日

TOPPERS/ASP、シノプシスのDesignWare ARC EMプロセッサ・ファミリーをサポート

Toppers
Synopsys

業界で普及しているオープンソースのリアルタイムOS と超低消費電力のARC EM プロセッサ・コアの組み合わせで次世代のウェアラブル / IoT 機器開発を支援

概要

  • 次世代のウェアラブル端末やIoT 機器に最適な超低消費電力・高性能プロセッサ・ファミリー DesignWareTMARC®EM シリーズ
  • 高い信頼性・安全性・リアルタイム性を要求される組込みシステムに最適なTOPPERS/ASP カーネル
  • 組込みソフトウェアの早期開発開始、ポーティング、デバッグを支援する低コストな開発プラットフォーム DesignWare ARC EM Starter Kit


2015年11月18日 横浜 Embedded Technology & IoT Technology 2015発 – 
シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)と特定非営利活動法人 TOPPERSプロジェクト(東京都中央区、会長:高田広章、以下TOPPERS プロジェクト)は本日、ウェアラブル端末やIoT 機器に最適な超低消費電力・高性能プロセッサであるシノプシスのDesignWare ARC EMファミリーへのTOPPERS/ASP(Advanced Standard Profile)カーネル ver1.9.2 対応を発表した。TOPPERS/ASP がARC EM シリーズで利用可能なリアルタイムOS 群に加わることにより、ソフトウェア開発者は、TOPPERS プロジェクトが提供している広範な設計資産およびミドルウェア等の機能を利用できるようになり、より短期間で製品を市場投入できるようになる。ARC EM シリーズへのTOPPERS/ASP のポーティングは、ARC アクセス・パートナーである株式会社エーアイコーポレーション(東京都品川区、代表取締役:加藤博之)が、DesignWare ARC EM Starter Kit をターゲット・システムとして実施した。TOPPERS/ASP カーネルがサポートするプロセッサにARC EM が加わった成果はTOPPERS プロジェクトにより公開の予定である。ARC EM シリーズで動作するTOPPERS 関連ソフトウェアに関する技術サポート、および各種ドライバならびにミドルウェアは、エーアイコーポレーションより順次提供予定である。

特定非営利活動法人 TOPPERS プロジェクト 会長 高田広章(名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター長)は、次のように語っている。「ARC EMでTOPPERS/ASP が利用可能になったことは誠に喜ばしいことです。TOPPERS/ASP は、高い信頼性・安全性・リアルタイム性が要求される組込みシステムに最適なOS で、これとシノプシス社のARC EM が提供する超低消費電力で小面積な高性能プロセッシング能力を組み合わせることで、組込みソフトウェア開発者は、高品質・高性能なアプリケーション開発が可能になり、次世代ウェアラブル / IoT 機器の開発が加速することでしょう」

TOPPERS/ASP は、TOPPERS 新世代カーネルの基盤(出発点)となるリアルタイム・カーネルで、TOPPERS 新世代カーネル統合仕様に準拠している。ASP(Advanced Standard Profile)の名前が示す通り、μITRON4.0仕様のスタンダード・プロファイル準拠のリアルタイムカーネルであるTOPPERS/JSP カーネルを拡張・改良する形で開発されている。高い信頼性・安全性・リアルタイム性を要求される組込みシステムをターゲットに開発されており、最新の設計思想による次世代のウエアラブル端末 / IoT 機器の開発に最適なリアルタイムOS となっている。また、プロフェッショナルサービス・プロバイダ各社が提供する、各種技術サポートならびに数多くのミドルウェアを利用できる。さらにTOPPERS プロジェクトでは、現在、TOPPERS/ASP の次期バージョンであるTOPPERS/ASP3 カーネルの開発を進めている。

ARC EM プロセッサシリーズは、次世代のウエアラブル端末 / IoT 機器 / センサーフュージョンなどの要求を満たす、超低消費電力、高性能でDSP 演算機能を持つプロセッサIP である。さらに、独自のコンフィギュレーション機能、命令拡張機能、I/O インテグレーション機能により、必要な機能をジャストフィットなシステム構成で提供できる。ARC EM Starter Kit は、組込みソフトウェアの早期開発開始、ポーティング、デバッグを実現する。この開発キットはすぐに使用できる状態で提供されるため、ソフトウェア開発者はコーディングをただちに開始できる。またシノプシスは、ARCプロセッサ向けソフトウェアの開発/デバッグ/最適化を支援する完全なツール・パッケージであるARC MetaWare Development Toolkit も提供している。さらに、ARC EM 向けソフトウェアの開発者は、embARC Open Software Platform を通じて、無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスが可能で、IoT 機器やその他の組込み機器に搭載するソフトウェア・コードの開発負担を軽減することができる。

またシノプシスは、ますます複雑化するソフトウェア開発業務を支援するため、ソフトウェアの品質とセキュリティを向上させるソフトウェア開発ツール群からなるSoftware Integrity Platform を提供している。ソフトウェア開発プロセスにシームレスに組み込めるこれらの解析/テスト自動化ツールにより、ソフトウェア品質上の問題点やセキュリティ脆弱性をソフトウェア開発ライフサイクルの早期段階で特定/修正できるようになり、ソフトウェア・サプライチェーンを通じた可視化と管理が可能となる。シノプシスは、ソースコードの静的解析技術のリーディング・カンパニーであるCoverity 社を2014年に買収し、ソフトウェア品質/セキュリティのソリューション分野に参入した。その後も、関連分野の企業やツールの買収でソリューション強化を続けている。Heartbleed 脆弱性を独自に発見したことで有名なセキュリティ専門企業のCodenomicon 社や、Interactive Application Security Testing 手法によってWebアプリケーションの脆弱性を誤検知なく検出するツールのSeeker などである。Seeker は、Gartner社のMagic Quadrant for Application Security Testingリポート* で“Visionary” に位置づけられている。

日本シノプシス合同会社 社長 職務執行者 藤井公雄は次のように述べている。「IoT 機器やウェアラブル端末に代表される次世代の組込み機器の開発には、最適なハードウェア・プラットフォームと、包括的なソフトウェア開発環境の構築が不可欠です。シノプシスは、半導体設計のためのEDAツールや半導体設計資産の分野で長年に渡って業界をリードし続けてまいりましたが、近年はソフトウェア開発業界のニーズに応えるための事業拡大に注力しています。今回のTOPPERS プロジェクトとの協業は、ますます複雑化するソフトウェア開発の課題の解決、ソフトウェアの開発効率、品質、セキュリティの向上に向けた当社のコミットメントを象徴するものです」

提供開始時期
DesignWare ARC EM プロセッサならびにARC EM Starter Kit は既に提供を開始している。
ARC EM へのTOPPERS/ASP のポーティングは、2016年第4 四半期に提供を予定している。

DesignWare IP について
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Accelerated イニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP 向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報は、 http://www.synopsys.com/designware より入手可能。

TOPPERSプロジェクトについて
TOPPERS(Toyohashi OPen Platform for Embedded Real-time Systems)プロジェクトは、ITRON 仕様の技術開発成果を出発点として、組込みシステム構築の基盤となる各種のソフトウェアを開発し、良質なオープンソースソフトウェアとして公開することで、組込みシステム技術と産業の振興を図ることを目的としたプロジェクトです。また、教育コースや教材の開発と、それを用いた教育の場を提供するなどの活動を通じて、組込みシステム技術者の育成に貢献することも目的としています。

TOPPERS プロジェクトは、2003年9月に設立した特定非営利活動法人(NPO法人)を中心に、名古屋大学教授の高田広章をリーダとして、産学官の団体と個人の連携により推進しています。 

TOPPERS プロジェクトは、次の4つの狙いをもってプロジェクトを進めています。

(1) 決定版のITRON 仕様OS を開発する 
ITRON 仕様OS の決定版を構築し、普及させる活動を進めます。 組込みシステム分野において、Linux のように広く使われるOS に育てていきます。

(2) 次世代のリアルタイムOS 技術を開発する 
組込みシステムの要求に合致し、ITRON仕様の良さを継承した、次世代のリアルタイムOS 技術を開発します。 オープンソースソフトウェアにすることで、産学官と個人の力を結集することが可能になります。

(3) 組込みシステム開発技術と開発支援ツールを開発する 
高品質な組込みシステムを効率的に開発するための技術と開発支援ツールを開発します。

(4) 組込みシステム技術者の育成に貢献する 
オープンソースソフトウェアを用いた教育コースや教材の開発と、それを用いた教育の場を提供するなどの活動を通じて、組込みシステム技術者の育成に貢献します。

詳細な情報は、http://www.toppers.jp/ より入手可能。


シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第16 位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。

* “Magic Quadrant for Application Security Testing” 2015年8月6日刊 
   Gartner 社アナリスト Neil MacDonald、Joseph Feiman 著

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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充 
TEL: 03-6746-3940  FAX: 03-6746-3941