IoT 機器で必要となる信号処理能力に対応したARC EM9D ならびにEM11D コア
概要
2015年9月10日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、消費電力効率の高いARC EMプロセッサ・ファミリーの新製品 DesignWare ARC EM9DならびにEM11D Processors を発表した。EM9D とEM11D コアには、ARCv2DSP 命令セット・アーキテクチャ(ISA)が搭載されており、RISC ならびにDSP プロセッシングとXYメモリーサポートの組み合わせにより、消費電力を最小限に抑えて信号処理性能を大幅に向上させている。これらのコアは、プロセッサ・パイプラインと密結合されたメモリーから命令やデータを呼び出すことにより、時間や電力を浪費する頻繁なシステム・メモリー・アクセスを削減し、プロセッシング・スループットを最大化している。ARC MetaWare Development Toolkit は、DSP 命令やXY メモリー、豊富なDSP ライブラリを使いこなせるようC/C++プログラミングを完全サポートすべくエンハンスされており、ソフトウェア開発を支援する。またこれらのコアは、IoT(Internet of Things)機器やその他の組込み機器で多用されるセンサー・フュージョン、音声検知、会話認識、オーディオ・プロセッシングといったDSP に集中する機能の処理のために最適化されている。
Malaspina Labs 社 CEO Dean Neumann 氏は次のように語っている。「両手の自由を確保するため音声入力で指示できるIoT 機器のニーズが急増していますが、シノプシス社のARC EM9D ならびにEM11D は、そういったアプリケーションに最適なプロセッサです。これらの最新ARC EM コアと、Malaspina Labs 社のVoiceBoost のような高性能な会話処理ソフトウェアの組み合わせにより、常時稼動の音声駆動システム、生体認証システム、音声認識システムなどに必要な超低消費電力ソリューションが実現します」
ARC EM9D ならびにEM11D は、ARC EM DSP プロセッサ・ファミリーの中で最高のデジタル信号処理性能を持つプロセッサ・コアである。EMプロセッサ・ファミリーは全て、三段パイプラインを実装しており、制御機能と信号処理機能が混在するアプリケーションに最適なコアである。EM9D ならびにEM11D は、アドレス自動生成ハードウェアとシステム・メモリーへのデータ入出力のためのDMA 機能を独立したXメモリーとYメモリーに統合することにより、信号処理コードで一般的な通常のデータ・アクセス・パターンを有効活用する。これにより、消費電力と面積を抑えつつ、1クロックサイクルあたり、1つの32x32 積和演算または2つの16x16 積和演算の持続的なスループットを実現している。また両コアには、整数/固定小数点数の除算及び開平演算、非アラインデータのロード/ストア、ビット列のパースをサポートするためのエンハンスが施されている。こうした機能により、両コアは、複雑なセンサー・アルゴリズムの実行に必要なより高いDSP 性能を実現し、MP3、SBC、OPUS、AAC LCといった様々な音声フォーマットの処理効率を向上させている。たとえば、4411kHz、128kbpsでMP3 データをデコードする際のEM9D の消費電力は、40マイクロ・ワット以下である(28nmプロセスの場合)。
ARC プロセッサ向けソフトウェアの開発/デバッグ/最適化を支援する完全なツール・パッケージであるARC MetaWare Development Toolkit は、他の全てのARC プロセッサ同様、EM9D とEM11D もサポートしている。今回MetaWare には、DSP のプログラマビリティを容易にし、XYメモリー活用のためにアルゴリズムを最適化するための新機能が追加されている。一般的なCコードの場合、MetaWare のコンパイラは、処理性能を高めるため、ガイド付き及び自動ベクター最適化機能により、ARCv2DSP ISA 命令を自動生成する。さらにソフトウェア・プログラマーは、クオリファイヤやプリミティブを含むCコードの使用と、自動的にXYメモリーを参照するように生成するMetaWareコンパイラの能力によって、コアのDSP リソースとXYメモリー・リソースを、効率よく、目的に合わせて使用することができる。またMetaWareには、FFTやDCT、FIRやIIRフィルター、ベクターやマトリックス演算を始めとするDSP ファンクション・ライブラリが豊富に含まれているため、ソフトウェア開発者は、標準的なDSP の組み合わせによるアルゴリズムを短時間で実装することができる。音声コーデックのためのITU-TライブラリもToolkit の一部である。さらにプログラマーは、利用できるネイティブ固定小数点データタイプや、C++ラッパー・クラス、固定小数点算術基本演算子のAPIを活用して、DSP 機能を高めることもできる。イントリンジック命令を使って、コードをマニュアルで最適化し、消費電力を抑えつつ最大性能を引き出すこともできる。
またARC EM 向けソフトウェアの開発者は、embARC Open Software Platform を通じて、無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスが可能で、IoT機器やその他の組込み機器に搭載するソフトウェア・コードの開発負担を軽減することができる。
シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「今日のネット接続機器は、複数のセンサーから情報を取得し、それらに即応して処理を実行しなければならないため、消費電力を増加させることなく信号処理能力を高める必要に迫られています。ARC EM9D ならびにEM11D は、ますます増加するDSP タスクに対応した処理能力の大幅向上と同時に、クロック周波数を抑えて消費電力を削減するという2つのメリットを、常時稼動システムの開発者の皆様にお届けします」
提供時期
ARC EM9D、EM11Dプロセッサ、ならびに関連するMetaWareソフトウェア開発ツールは、2015年9月に一般提供開始の予定である。
DesignWare IP について
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みI Pのリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP 向けソフトウェアの開発キット、IP サブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designware より入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・テストの分野でもCoverityソリューションで業界をリードしており、世界第16位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。
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