新しいモデリング・インターフェイスと各種自動化機能によりモデリング効率が向上
ソフトウェア開発の更なる前倒しが可能に
製品の概要
2012年7月24日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、バーチャル・プロトタイピング・ソリューション Virtualizerと、組込みソフトウェア開発期間を短縮するVirtualizer Development Kits(VDK)の最新バージョンを発表した。Virtualizer最新バージョンでは、新しいモデル・オーサリング機能とIP仕様インポート機能により、モデリングの生産性が向上するため、プロトタイプ開発者は、これまでより3倍早くシステムレベル・モデルを作成しバーチャル・プロトタイプに組み込むことができるようになる。さらに、一般に普及しているソフトウェア・デバッガに対するサポートも強化されているため、ソフトウェア開発者は、Virtualizerで開発されたバーチャル・プロトタイプを使い慣れたソフトウェア・デバッグ・フローに容易に取り込んで使用できる。
株式会社リコー コントローラ開発本部 CH開発センター EPF開発室 開発一グループ 青木 賢氏は次のように語っている。「当社では、Virtualizerを用いてSoC全体の抽象化モデルを作成し、極めて短期間でバーチャル・プロトタイプを開発し、早期のソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を進めています。Virtualizerは、SoC開発企業にとってなくてはならないツールです」
シノプシスのバーチャル・プロトタイピング・ソリューション Virtualizerは、プロジェクト早期段階でのソフトウェア開発、ハードウェア/ソフトウェア統合、システム全体のバリデーションを可能にするために、ツール、モデル、技術サービスを包括的に網羅したソリューションの中核をなす製品である。Virtualizerは、SystemCベースのトランザクションレベル・モデル(TLM)を作成して、システム全体を表現したバーチャル・プロトタイプとして組み上げるプロセスの効率を向上させることにより、半導体製品やエレクトロニクス製品に組み込まれるソフトウェアの複雑化に対処する。またVirtualizerは、VDKのカスタマイズにも使用される。VDKは、特定のデザインのバーチャル・プロトタイプや、デバッグならびに解析ツール、サンプル・ソフトウェアなどからなるソフトウェア開発キットであり、実チップが完成する12ヶ月前の段階からソフトウェア開発を可能にする。ARM® big.LITTLE処理スキーム向けVDKや、ARM CortexTM-A15 MPCoreTMプロセッサ・ベース・デザイン向けVDKも、すぐに使える状態で、シノプシスから提供されている。
ARM社 システム・デザイン部門 プロダクト・マネージメント・ディレクター Javier Orensanz氏は次のように語っている。「スマートフォン、タブレット端末、スマートTVなどの複雑なシステム機器を開発する企業にとって、開発リスクと開発期間を削減することは重要な要素です。シノプシス社が提供するARM big.LITTLE処理向けVDKや、Cortex-A15プロセッサ・ベース・デザイン向けのVDKを活用することにより、開発者はこうした課題に対処しつつ最適な結果を出すことができます。ARM Development Studio 5やARM StreamlineTMパフォーマンス・アナライザーと併用することにより、さらに開発リスクを軽減し、より低消費電力のシステムを開発できるようになります」
Virtualizer最新バージョンには、シミュレーション実行時のボトルネック箇所を迅速に特定し解決するためのミュレーション・プロファイラーも搭載されている。Lauterbach TRACE32 System、ARM Development Studio 5(DS-5)などの一般に普及しているソフトウェア・デバッガの最新API(Application Program Interface)のプラグイン・サポートにより、ソフトウェア開発者は、VDKを用いてマルチコア・システム向けソフトウェアの強力かつ統合された開発環境を構築できる。さらに、MathWorks社のシミュレーション環境 Simulinkとの統合により、バーチャルHILS(Hardware-in-the-Loop)テストをより迅速に活用できるようになる。
Lauterbach社 ジェネラル・マネージャー Stephan Lauterbach氏は次のように語っている。「当社のTRACE32デバッガとVirtualizer最新バージョンの緊密な統合要素のひとつに、業界標準となっているMulti-Core Debug APIのサポートがあります。これにより、ソフトウェア開発者はマルチコア・システム向けソフトウェアのデバッグと解析にあたって、効率的な統合環境を活用できるようになります。プログラマーは、プロジェクトの早期段階でバーチャル・プロトタイプ環境でのソフトウェア開発をスタートさせることができるようになり、実際のハードウェア環境に移行する際に他のデバッグツールに乗り換える必要もありません」
Virtualizer最新バージョンに搭載されたモデル・オーサリング・インターフェイスは、自動デザイン・ルール・チェック機能やデザインに則したヘルプ機能などの新機能によりモデル作成を簡素化/自動化する。これにより、バーチャル・プロトタイプ開発の専門家だけでなく初心者でも効率的なモデル開発が可能になる。また、IP-XACT、Excel、Word、PDFなどの一般的なフォーマットで表現された既存IPの仕様もインポートできるため、SystemC Modeling Library(SCML)構造やAccellera仕様のTLM-2.0バス・インターフェイスを自動生成でき、モデル開発効率がさらに向上する。
これらの新しいモデル開発支援機能に加え、Virtualizerは、既に市場で利用されているIPブロックのTLM-2.0準拠モデルとのダイレクト接続も引き続きサポートする。シノプシスのDesignWare TLM LibraryモデルやARM Fast Models、シノプシスが提供するその他のSystemC TLMモデルなどはもちろん、TLMCentralで公開されている900を超すシステムレベル・モデルも、そのサポート対象である。
シノプシス IP&システム・マーケティング担当副社長 John Koeterは次のように述べている。「ソフトウェア開発者が、早期ソフトウェア開発着手のためにバーチャル・プロトタイプを活用するメリットは益々増えています。Virtualizerの最新バージョンにより、プロトタイプ開発チームは、バーチャル・プロトタイプをこれまで以上に容易かつ迅速に開発し、それをVDKに組み込んでソフトウェア開発チームに配布できるようになります。こうした手法の活用により、従来型のソフトウェア開発手法に依存している競合他社に対して、開発期間短縮の面で圧倒的に有利に立てます」
提供可能時期
Virtualizer 12.06バージョンは既に提供を開始している。Virtualizerについての詳細な情報は、www.synopsys.com/Virtualizerより入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。
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