ニュースリリース - 2012年2月28日

シノプシス、SoC検証を高速化する次世代の検証用IPを発表

従来比4倍の検証スピード、迅速なコンフィギュレーション機能、効率的なプロトコル・トラフィック・デバッグ機能を提供するDiscovery VIPにより、短期間でのプロトコル準拠性検証が可能に


シノプシス Discovery VIP(検証用IP) 概要

  • 最も複雑なシステムオンチップ(SoC)の検証を高速化・容易化。
  • より高い検証性能、デバッグ/カバレッジ解析マネージメント、使い易さ、既存のSoC検証環境への統合のし易さ。
  • SystemVerilogで記述され、UVM、VMM、OVM全てに対応しているため、それらの検証メソドロジで構築されているあらゆる検証環境で使用可能。
  • 主要なシミュレータ全てに対応。
  • Protocol Analyzerにより、デザインの中のプロトコル・トラフィックの状況を迅速に把握し、問題箇所を特定し、デバッグ。


2012年2月27日 カリフォルニア州マウンテンビュー発
 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、新しいVIPERアーキテクチャをベースに開発したDiscovery VIPを発表した。Discovery VIPは、完全にSystemVerilogで記述され、既存の検証メソドロジであるUVM(Universal Verification Methodology)、VMM(Verification Methodology Manual)、OVM(Open Verification Methodology)全てをネイティブ・サポートしており、最も複雑なSoCの検証を高速化・容易化するための検証性能の高さ、使い易さ、高い拡張性を備えている。またDiscovery VIP製品に含まれているProtocol Analyzerは、プロトコル・トラフィックのデバッグ環境を提供する。Discovery VIPは、主要なシミュレータ全てに対応しており、コンフィギュレーション機能やカバレッジ解析機能、ビルトインのテスト・シナリオを提供するだけでなく、他の市販VIPと比較して、検証スピードが最大4倍向上するため、IP/SoC設計者の生産性が大幅に改善する。次世代検証に向けたVIPERアーキテクチャは、多くのプロトコル・チェックが必要な検証作業とSoC全体でのバリデーションの品質を改善するための基礎となる機能を提供する。

Cavium社 ネットワーク&コミュニケーション部門 IC開発担当副社長 Bruce Fishbein氏は次のように語っている。「当社は、シノプシス社のVIPを長年にわたって使用しており、その品質と性能、提供される各種の機能に非常に満足しています。我々が取り組んでいる設計・検証は新たなレベルの複雑性に直面していますが、Discovery VIPは、次世代のSoC検証の課題を克服するための展望とロードマップを提供してくれます」

先進のSoCデザインには、これまで以上に複雑化したプロトコル機能ブロックがこれまで以上に多く搭載されているため、検証エンジニアがタイトな開発スケジュールを厳守しつつ検証カバレッジ目標を達成するには、VIPが検証環境の中で非常に重要なコンポーネントとなっている。VIPは、ARM® AMBA®、PCI Express、USB、MIPI、HDMI、Ethernetといったオンチップあるいはオフチップのプロトコルの機能モデルである。検証エンジニアは、これらのモデルを使って、SoCを製造工程に回す前にあらゆるインターフェイス機能をテストし、これらのインターフェイス動作が標準規格の仕様に準拠しているかどうかを検証する。

100% SystemVerilog記述とUVM、VMM、OVM環境のネイティブ・サポート
Discovery VIP群は、他の市販VIPと異なり、ラッパーや異なる言語によるメソドロジ拡張に頼ることなく、完全にSystemVerilogで記述されている。UVM、VMM、OVMをネイティブ・サポートしているため、それらのメソドロジをベースにした検証環境でVIPを使用するためのラッパーは必要なく、従ってラッパーを介したスティミュラス・データ変換やリマッピングも発生しない。そのため、余計な処理時間を排除できるだけでなく、他の独自のメリットも提供できる。デバッグ、カバレッジ解析のプランニングやマネージメントに必要な様々な機能はもとより、VIPを全ての主要なシミュレータ環境で使用できる高いポータビリティや、SoC検証環境へのVIPの統合のし易さなどである。

ARM社 プロセッサ部門 ストラテジック・マーケティング・マネージャー William Orme氏は次のように語っている。「より高い性能と低消費電力ニーズの高まりに伴い、一貫性が高くヘテロジニアスなマルチ・プロセッサSoCの実現に向けて、業界内ではAMBA4 AXI4TMプロトコルやACETMプロトコルの採用が広範囲にわたって急速に進んでいます。当社は、シノプシス社が取り組んできたAMBA4 AXI4やACEのVIPを開発に協力し、その仕様準拠性テストやインターオペラビリティ・テストのためのリファレンス・モデルを提供してきました。我々は、今後もシノプシス社と緊密に協業し、両社共通のお客様のニーズにお応えしてまいります」

Protocol Analyzerによるプロトコル・トラフィックの効率的なデバッグ機能
プロトコル機能ブロックが非常に複雑化してきているため、プロトコルのデバッグはSoCの機能検証の中で最も難易度が高く時間もかかる工程となっている。Discovery VIP製品に含まれているProtocol Analyzerは、プロトコル・トラフィックのデバッグ機能とインテリジェントなグラフィック表示機能を提供する。これにより、検証エンジニアは、プロトコルのトラフィック状況を迅速に把握し、問題箇所を特定し、デバッグによって想定外の挙動を回避できる。

VIPERアーキテクチャについて
Discovery VIP群は、VIPの性能、コンフィギュラビリティ、ポータビリティ、デバッグ性、カバレッジと整合性のマネージメント、拡張性を改善するという目標に徹して開発されたVIPERアーキテクチャをベースに開発されている。VIPERは、UVM、VMM、OVMといった全ての検証メソドロジで培われたベスト・プラックティスを元に、各種プロトコルのレイヤ構造に合わせてSystemVerilogでVIPを記述しているため、プロトコル検証機能やその他の優れた機能を提供できる。VIPERアーキテクチャをベースにしたVIPでは、プロトコルを構成するあらゆるレイヤを可視化できるため、プロトコル検証プロセスを完全にコントロールできる。検証エンジニアは、自身の検証プランに従って最上階層のレイヤだけをシミュレートすることもできるし、場合によっては最下層のレイヤにエラー注入して検証することもできる。

VIPERアーキテクチャは、プロトコルのシミュレーションに限定した情報をトレースできるため、RTL波形と同期した時系列で表示されるプロトコル解析ビューなどの様々な解析ビューを表示できる。VIPERは、それぞれのプロトコルのコンフィギュレーションに完全にあわせたVIP構造を生成でき、プロトコル・アプリケーションの本来のデータ転送とは関係の無い、動作上の初期化シーケンスを検証対象から取り除くといった各種機能も提供できる。また、拡張性も非常に高いため、DUT(device-under-test)の検証シナリオに合わせて、様々なエラー注入を行ったり、カバレッジ・サンプリングを行ったりといった追加機能を提供できる。

シノプシス ベリフィケーション・グループ ジェネラルマネージャー兼上級副社長 Manoj Gandhiは次のように述べている。「開発コストと開発期間の観点から、プロトコルの検証はSoC検証の中で非常に問題の部分となっています。シノプシスは、デバッグと性能を改善しSoC検証環境への統合を容易にする次世代VIPの必要性を強く認識していました。今回の新しいVIPの開発は、SoC検証の課題に挑む設計者にとって大きなインパクトを持つものとなります」

提供可能時期
USB 3.0、ARM AMBA AXI3、AXI4、ACE、HDMI、MIPI(CSI-2/DSI/HSIなど)、Ethernet 40G/100G、PCI Express、SATA、OCP、その他多数のプロトコル機能の検証向けのVIPは、すでに提供を開始している。

次世代VIPのリストはhttp://www.synopsys.com/VIP/より入手可能。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充 
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