ニュースリリース - 2010年10月12日

シノプシス、Optical Research Associates社を買収

提供する技術開発用ソフトウェア・ツール分野を光学系機器の設計/解析に拡張

2010年10月7日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス（Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS）は、光学機器の設計・評価と技術サービスのリーディング・カンパニー Optical Research Associates社（非上場、以下ORA）の買収を発表した。ORAが持つ専門知識やテクノロジそして製品が加わることにより、シノプシスは、薄型ディスプレイや、半導体発光のライト（LED）といった急成長マーケットへの参入が可能となり、半導体製造向けリソグラフィー装置やカメラなどの市場にも進出を目指す。今回の買収は、必然的にEDAに近く進出可能な分野に事業を拡張して行くという事業戦略に基く最初のアクションとなる。

ORAのソフトウェア・ツールは、光の制御・操作を必要とする機器の設計と最適化に用いられる。すなわち、カメラ、望遠鏡、半導体製造向けリソグラフィー装置、プロジェクター、薄型ディスプレイ、車載光源、LED製品などの機器に組み込まれる光学部品や光学機構の設計・改良を可能にするソフトウェア・ツールである。光学部品とは、レンズ、プリズム、鏡といったものまで含めた各種部品のことであり、光学機構とは、必要とされる結像均一性を実現するためにあらゆる光学部品を組み合わせて作るシステム部品を指す。

今回の買収条件の詳細は公表していない。また、シノプシスの2010年度決算ならびに2011年度決算に及ぼす影響も大きなものではないと想定している。

シノプシス シリコン・エンジニアリング・グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャー Howard Koは、次のように語っている。「光学設計分野への進出は、シノプシスにとって理にかなっています。光学システムの解析と最適化には、当社が現在ご提供しているアルゴリズム的解析やソフトウェア工学の専門技術と非常に近い技術が用いられているからです。両社は、互いに補完関係にある技術を持ち、将来の技術ビジョンを共有しているだけでなく、優れた技術を開発しその分野のトップ企業となるという企業文化の点でも共通しています。両社は力をあわせて、ORAのお客様、そしてLEDに代表される急成長マーケットに大きな価値をご提供できると信じています」

ORAは、光学業界に革新的なソリューションを提供している。同社は、ソフトウェア製品 CODE V（コードファイブ）ならびにLightToolsによって、光学設計・解析ソフトウェアのリーディング･カンパニーの一社としての地位を確立している。CODE Vは、光学画像や光通信システムの設計と解析に用いられているツールである。CODE Vは、光線がレンズ、プリズム、鏡といった光学部品を通過・反射する際にどういう屈折を見せるかをシミュレートし、そこから結像品質を見積もることができる。こうして開発された製品やシステムは、例えば望遠鏡を通じて惑星を観察する場合のように、高精度な物体映像を得ることができるのである。LightToolsは、光線を操作・制御するための3Dツールである。LightToolsによって、光線が現実世界で人の目にどのように映るのかを解析できるため、開発者は自動車のヘッドライトや街灯、携帯電話のディスプレイといった、光度/配光/均一性が求められる製品の設計が可能になる。

ORAのエンジニアリング・サービス・グループは、光学設計のあらゆる領域に渡って想像力に富むコスト効率の高いソリューションを提供し、1963年の創業以来4,800件を超えるプロジェクトの完遂を支援してきた。ORAは、販売代理店を通じて、25カ国以上の国々に顧客基盤を持っている。事業拠点は、カリフォルニア州パサディナ、アリゾナ州トゥーソン、マサチューセッツ州ウェストボローにある。