Rapid3Dテクノロジが45nm以降のカスタムLSIデザインが直面する抽出精度と実行時間の問題を解決
2010年6月14日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は、本日、新しい3Dフィールド・ソルバー・エンジン Rapid3Dテクノロジを発表した。このエンジンは、シノプシスのRC抽出ソリューション StarRC Customに組み込まれている。Rapid3Dテクノロジは、高い実績を持つRaphael NXTエンジンをベースに開発されており、最先端3Dフィールド・ソルバー・アルゴリズムの採用により、アトファラッド精度のRC抽出能力と処理速度の劇的向上を実現している。このアルゴリズムは、最新のマルチコア・ハードウェア環境上で、さらにその効果を最大化でき、45nm以降のカスタムLSI設計やIPキャラクタライゼーションのためのRC抽出で深刻になる抽出精度と処理速度の問題を解決する。
Rapid3Dテクノロジは、StarRC Customに標準機能として組み込まれ、その実証済みの信頼性、業界をリードする寄生容量モデリング技術、標準インターフェイスにより、設計者に、実シリコン精度のRC抽出能力と生産性の大幅向上を提供する。このRapid3Dアルゴリズムをお客様のデザインに適用したところ、シングルCPUのハードウェア環境上で、最大20倍の抽出処理速度向上を実現している。またマルチコア環境上では、処理速度が直線的に向上し、64CPUで、さらにその最大54倍に速度が向上する(20倍×54倍)。このマルチコア・テクノロジは、マルチ・スレッディング技術の最適化により、メモリー容量に制約のあるコンピューティング環境上でも処理能力を最大化する。
アルテラ社 CADエンジニアリング・ディレクター Eugene Chen氏は次のように語っている。「先進のプロセス・テクノロジでは寄生容量がデザインに及ぼす影響が非常に大きくなるため、あらゆる最先端デザインにとって高い精度と開発期間短縮は深刻な問題となっています。Rapid3Dテクノロジを搭載したStarRC Customは、精度と速度を両立してくれるため、最短パスで設計を完了し競争優位性を維持する上で大きな支えとなっています。当社での評価結果では、Rapid3Dテクノロジは、シングルCPU上で処理速度が13倍向上しました」
シノプシスがRapid3Dテクノロジを開発したのは、カスタム設計者に単により早い3D抽出能力を提供するためだけではない。シノプシスが技術優位性を誇るインプリメント・ソリューション/シミュレーション・ソリューション/解析ソリューションとのリンクを通して、フロー全体にわたって高い生産性を提供し開発期間全体を短縮していただくためである。相乗効果を発揮するソリューションとは、“インデザイン”3D抽出を実現するカスタム設計ツール Galaxy Custom Designer、メモリならびにカスタムSoCデザインの高速・高精度シミュレーションを実行するCustomSim、カスタム・デジタル回路のシグナルインテグリティ・サインオフ解析を行うトランジスタレベル・スタティックタイミング解析ツール NanoTimeである。
さらにRapid3Dテクノロジは、本日同時発表のライブラリ・キャラクタライゼーション・ソリューション Liberty NCXともシームレスに協調し、Galaxyデザイン・プラットフォームのインプリメンテーション・ツールや、スタティックタイミング解析ソリューション PrimeTimeに代表されるサインオフ・ツールで使用するライブラリの精度を向上し、ライブラリ・サイズをコンパクトにし、パフォーマンスを向上し、かつその開発期間を劇的に短縮する。
シノプシス プロダクト・マーケティング担当副社長 Bijan Kianiは、次のように述べている。「今回の発表は、設計期間の大幅短縮と実シリコンレベルの高い精度を両立させる革新的なテクノロジをご提供していくという当社のコミットメントを象徴するものです。これまでに確認したお客様による使用結果は、非常に素晴らしいものでした。このブレイクスルー・テクノロジを全てのStarRC Customユーザー様にお届けするのをとても楽しみにしています」
StarRC Customについて
シノプシスのRC抽出ソリューション StarRCファミリーは、StarRC Customを基盤ツールとし、StarRCならびにStarRC Ultraで構成されている。
StarRC Customは、カスタム・アナログ/ミックスドシグナルならびにデジタル・デザインを高い精度で実現するためのRC抽出機能を提供している。StarRCは、加えてフルチップ/ゲートレベル/トランジスタレベルのRC抽出機能を提供、StarRC Ultraは更なる最先端機能を提供している。
StarRCファミリーは、高い処理速度向上を実現するマルチコア・テクノロジ、階層抽出テクノロジ、微細化レベルに応じたCMP効果モデリング・テクノロジ、ばらつき考慮の抽出テクノロジなどの各種テクノロジを搭載しており、設計者は厳しいテープアウト・スケジュールを達成しつつ、サインオフに求められる高い精度の抽出を実現できる。
シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
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