Optical and Photonic Solutions Blog~日本語版~
公開日:2023年3月1日
光学技術の発展により、材料、表面特性、部品、およびシステムの品質に対する要求が高まり、時には全く新しい要求も求められることもあります。自動車用の光学部品では、高い透過率と散乱効果を促進する材料が、光学システムの効果と外観の形成に重要な役割を果たすことがあります。天文用装置や航空宇宙用機材に搭載される光学系では、材料に対する仕様は通常とは異なる場合があります。例えば、反射率を抑制して迷光を低減する材料を用いることがとても重要になることがあります。
光学技術に使用する材料の要件には、材料特性を再現する十分な精度を持つ分析方法が必要になります。
反射率、透過率、吸収率の測定結果を光学設計に取り入れることで、材料と表面の特性に関する重要な情報を得ることができます。これにより、試作や製造を行う前に、材料が光学製品の性能に与える影響を見積もることことができます。
ここでは、Synopsys TIS Proを使用した反射率及び透過率の測定による光学製品設計の改善例をいくつかご紹介します。
光学系シミュレーションの正確性は、多くの場合、設定した材料と表面の特性の精度に依存しています。通常、モデル形状だけでは光の分布は決まりません。エネルギーと光線の方向がどのように変化するかを特徴づけるためには、光学的特性が必要です。ここでは、表面や材料の光学特性を評価するために使用できる2つの測定量について説明します。
1つ目は、光の散乱角度です。これは、BSDF(双方向散乱分布関数)とも呼ばれます。BSDFは、入射光が入射したときの透過および/または反射の両方向ににおいて、光が角度空間のどこで散乱しているかを表現しています。
2つ目は、反射率と透過率(R/T)です。これは、光が散乱している位置に関わらず、表面や材質に当たったときの反射光もしくは透過光の全積分量を測定します。
そして、反射率または透過率は、入力光束に対する全反射光または全透過光の積分量の比率で定義できます。
外観の見栄えは主観的な品質と言えるため、物の全体的な外観を定量化することは難しいです。しかし、光学散乱測定を行えば、外観の見栄えを定量化できる特定の手法があります。
外観の定量化には、物理量と視覚測定で得られる観察者の視覚感度との間で相関関係を持たせることが必要になります。BSDFはこれらの情報を統合した物理量になります。
また、BSDFから反射率や透過率の値を計算することができますが、機器の精度や、測定時のサンプリングや分解能に大きく依存した値になります。
このため、BSDFとは別に反射率と透過率(R/T)を測定することで、光学シミュレーションの精度を高めることができます。
Synopsys REFLET および Mini-Diff製品では、BSDFの測定が可能です。
Synopsys TIS Proは、表面や材料の反射率と透過率(R/T)を測定するための製品です。Synopsys TIS Proは、積分球と分光器を一体化して筐体に組み込まれており、迷光を抑制することで正確な測定結果を得られることが特長の製品です。
Synopsys TIS Proを使用する際、まず装置に付属する標準リファレンスを使用してキャリブレーションを実施します。
その後、光学サンプルの表面を測定します。反射率測定用(図1)では、積分球の中心に試料を置きます。透過率測定用(図2)では、入口ポートに試料を置きます。
図1:反射率測定用のSynopsys TIS Proのセットアップ
図2:透過率測定用のSynopsys TIS Proのセットアップ
入射角を指定後に、測定プロセスを開始できます。光源とサンプルの回転ステージは指定した入射角に応じて回転します。Synopsys TIS Proはサンプルに投光し、積分球より得られる信号を指定位置で分光器により収集します。Synopsys TIS Proはその信号をキャリブレーションにて取得済みの信号と比較し、反射率、透過率、吸収率の値を計算します。
測定結果は、LightToolsなどの光学シミュレーションソフトウェアにエクスポートすることができます。
Synopsys TIS Proは、光学システムにおける表面や材料の影響を評価することに適しています。測定結果は以下のように活用できます。
図3:Synopsys TIS Proの測定結果例
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