3次元パターンLEDシミュレーション

概要

LED は照明、表示灯、携帯電話やタブレット PC、テレビやディスプレイなど、さまざまな用途に使用されるようになりました。LEDは効率が高い、消費電力が少ない、信頼性が高い、色が鮮明、小型であるなど、これらのアプリケーションにとって重要な要素を備えています。

LEDは本質的にインコヒーレントであるためシミュレーションは難しく、従来のシミュレーション技法の多くは、マクスウェル方程式や波動方程式などの方程式を直接解いていたため、インコヒーレンスを容易に扱うことができませんでした。さらに、LEDの光学設計は複数の境界面や新しい材料や構造の使用、分散、表面粗さ、効率を高めるためのグレーティングの使用などの要因によって複雑になっています。

このアプリケーション事例ではFullWAVEとLEDユーティリティを使用し、図1と参考文献[1]に示す六角形のフォトニック結晶(上部にエッチングされたPhC)を持つ3D GaNベースLED構造のシミュレーションについて説明します。

Schematic of patterned LED structure | Synopsys

図1: パターン化されたLED構造の模式図:
a) 断面図
b) フォトニック結晶(PhC)
c) RSoft CADで描かれた構造

この構造は、図1c) に示すように、ダイナミックアレイの機能を使用して作成した PhC オブジェクトと、PEC 境界条件を使ったミラーで構成され、GaNの 材料データについては材料ライブラリ を使用しています。
まず、単一波長の連続波(CW)励振で、PhCあり/なし(フラット)の2つのシミュレーションを実行しました。ファーフィールドの結果を図2に示します。

Computed far-field for a) PhC case, and b) Flat case | Synopsys

図2:

a) PhCありの場合

b) フラットの場合で計算されたファーフィールドプロット

次に2つのパルスシミュレーションを可視域の波長範囲で実行し、得られたファーフィールドの結果を図3に、取り出し効率を図4に示します。

Combined far-field plots from a pulsed simulation for a) PhC case, and b) Flat case | Synopsys

図3:

a) PhCの場合

b) フラットの場合のパルスシミュレーションによるファーフィールドの合成プロット

Extraction Ratio Spectrum for a Pulsed simulation for PhC and Flat cases as a function of  a) frequency and  b) wavelength | Synopsys

図4:PhCとフラットの場合のパルスシミュレーションの取り出し効率スペクトルを
a)周波数
b)波長の関数として示したもの

また、図5に示すように個々の周波数に対するファーフィールドプロファイルを表示することもできます。

Far-field patterns at three different frequencies (rows) obtained form a pulsed simulation | Synopsys
Far-field patterns | Synopsys
Far-field patterns | Synopsys

図5:パルスシミュレーションで得られた3つの異なる周波数でのファーフィールドパターン
左側のプロットはPhCの場合、右側のプロットはフラットの場合

本内容に関するお問合せ

本ページでご紹介した事例をもっと詳しく聞きたい、利用した製品について個別に紹介して欲しいなどご要望ございましたら、お気軽に下記ボタンよりお問合せください。

参考文献

[1] Ch. Wiesmann, K. Bergenek, N. Linder, and U. T. Schwarz, Analysis of the emission characteristics of photonic crystal LEDs, Proc. SPIE 6989, Light Emission I, 69890L (2008).