HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は、デジタル機器間でのオーディオ/ビデオ伝送媒体として最も広く普及した規格です。20年前にバージョン1.0が登場したHDMIテクノロジは、HDMI 2.0を経て、2017年にはVRR(Variable Refresh Rate)やALLM(Auto Low Latency Mode)などの強力なゲームおよびメディア機能を導入したHDMI 2.1へと進化しています。これにより、ラグやスタッター(カクつき)、ティアリング(画面割れ)を抑えた、よりスムーズなゲームおよびビデオ体験が可能となりました。そして、先ごろHDMI Forumが発表した最新バージョンのHDMI2.1aは、ゲーマー待望の機能であるSBTM(Source Based Tone Mapping)を導入しています。
HDR(High Dynamic Range)によってビデオ品質が向上し、黒はより黒く、白はより白く、その他の色はより鮮やかに表示されるようになりました。シンク機器は、ソース機器から送信された色情報(静的および動的メタデータ)を利用してHDRビデオをスクリーンに再生します。SBTMは、これまでディスプレイ側でのみ実行されていたHDRのトーンマッピングの一部をソース機器でも実行できるようにする新機能です。
色範囲と輝度レベルはディスプレイごとに異なります。にもかかわらず、HDRビデオではディスプレイがその表示能力を超えてHDRコンテンツをマッピングします。
(www.netflix.comより)
YouTubeやNetflix、Amazon Primeなどのストリーミング・ウェブサイトの例で考えてみましょう。上に示したのは、Netflixアカウントのホームページ画面です。ここにはメイン・ビデオのプレビュー、ビデオ・サムネイル、各種オンスクリーン・ディスプレイ(OSD)メニュー・オプションが表示されています。ビデオのプレビューはダイナミックHDR、ビデオ・サムネイルはSDRまたはHDR、OSDはグラフィカル・メニューとして表示されるのが一般的です。このグラフィカル・メニューが、HDRビデオで使用する動的メタデータに反応してフリッカーを起こすのは望ましくありません。
種類の異なるコンテンツが混在するもう1つの例として、ゲーム画面があります。この画面には、ゲームだけでなく、プレーヤーの映像を表示するカメラ・ウィンドウや、チャット・ウィンドウも表示されます。この場合、ゲームがHDR、カメラ・ウィンドウがSDR、チャット・ウィンドウがグラフィカルという組み合わせが考えられます。
ユーザー制御オプションが分かりにくいのは、ユーザーがソース機器とシンク機器のどちらでオプションを手動調整すればよいのか理解できないためです。例えば、テレビで望みどおりの画質を得ようとした場合、一般的なユーザーはセットトップ・ボックス(ソース)とテレビ(シンク)のどちらでオプションを調整すべきか迷ってしまいます。
SBTMでは、シンク機器からソース機器に対し、受信可能なターゲット色空間(カラー・ボリューム)を通知できます。これにより、ソースはシンクの能力に合わせて画像を最適化します。このようにして、ソースは固定した色範囲や輝度レベルを使用するのではなく、個々のディスプレイに合わせることが可能になります。ソースは、新しいSBTM拡張メタデータを使用して、モード、ビデオ・タイプ、最小およびピーク輝度をシンクに通知し、シンクはこれらの情報を利用してトーンマッピングを実行します。SBTMは、マルチウィンドウPCで1つのウィンドウにHDR、別のウィンドウにオンスクリーン・グラフィックスを表示するような場合にも役立ちます。
SBTMを利用するには、ソースとシンクの両方の機器がSBTMをサポートしている必要があります。幸い、多くの機器ではファームウェア・アップデートだけでSBTMを利用できるようになります。
シノプシスのHDMI VIPはHDMI 2.1aとSBTMをサポートしており、SBTM拡張メタデータの検証に対する包括的なソリューションとしてご利用いただけます。シノプシスはIPからSoCレベルのプロトコル・ソリューションまで幅広くご提供しており、これにはシミュレーション、エミュレーション、プロトタイピング全般にわたるトランザクタ、メモリー・モデル、およびシステムレベルの仮想および物理ソリューションが含まれます。シノプシスのディスプレイおよびその他VIPの詳細は、www.synopsys.com/vipをご参照ください。
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