VC SpyGlass™はシノプシスVerification Continuum™プラットフォームの一部を構成するRTLスタティック・サインオフ・プラットフォームで、実績豊富なSpyGlass®テクノロジがベースとなっています。SoCの複雑化に伴い、RTL構文の正しさ、クロック・ドメイン・クロッシング(CDC)、リセット・ドメイン・クロッシング(RDC)をRTL開発の段階でいち早く検証することがますます重要となっています。先進のアルゴリズムと解析手法を統合したシノプシスVC SpyGlassにより、デザインに関する詳細な情報と知見をRTLフェーズの非常に早い段階で得ることができます。
多岐にわたるコーディング・スタイルや構造的および電気的な設計問題がデザインのバグとして顕在化すると、設計の反復やシリコン・リスピンを招く要因となります。一般的なツールでもデザインのバグ検出は可能ですが、それらはデザイン・インプリメンテーションの終盤にならないと検出できないものが多く、その時点で既に相当な時間と工数が費やされています。設計チームのグローバル化・多拠点化に伴い、設計意図の一貫性と正しさを確保することがチップ統合チームにとっての大きな課題となっています。デザイン再利用およびIP統合の重要性が高まる中、これまで以上に短期間でデザイン要素を統合し、正しさと一貫性のガイドラインへの適合を達成することが求められています。
VC SpyGlass™ Lintには、業界標準のベスト・プラクティスに加え、業界大手の顧客企業との協業で培ったシノプシスの豊富な経験が凝縮されています。リント・チェックには、STARCやOpenMOREなどのデザイン再利用コンプライアンスに対する準拠性チェックが含まれており、デザイン全体で一貫性のある設計スタイルを適用できる他、複数チームで分担したデザインや複数ベンダから調達したIPの統合が容易になり、デザインの再利用が促されます。
VC SpyGlass Lintは先進のフォーマル手法を使用して、RTLデザインの奥深くに潜む機能上の問題をピンポイントで特定するため、テストベンチやアサーションは必要ありません。伝統的なリント・テクノロジとフォーマル・テクノロジを統合したこのソリューションにより、広く使用されている包括的なリント・チェックをフォーマル・フローの一部として実行できるようになり、ノイズを抑えて高い結果精度が得られます。フォーマル考慮のリントと使い易さの向上により、高度なデバッグをインタラクティブに実行できます。
デザインの複雑化と大規模化が進むにつれ、予測性の高いデザイン・クロージャを達成することが大きな課題となっています。中でも特に難易度の高いのが、クロック・ドメイン・クロッシング(CDC)の問題です。現在のSoCには数十、あるいは数百の非同期クロック・ドメインが存在しており、伝統的なシミュレーションまたはスタティック・タイミング解析では検証が非常に困難になっています。今や、CDCの問題はデザイン・エラーの最も大きな要因の1つです。これらのエラーは設計/デバッグ・サイクルの時間とコストを押し上げるだけでなく、シリコンへの混入を許してしまうと非常に大きなリスピンのコストが発生します。
VC SpyGlass™ CDCは、包括的なメソドロジとスケーラブルな容量によって高いデバッグ生産性と高品質なサインオフを可能にします。
VC SpyGlass CDCは、制御およびデータ信号の相関をとることにより設計意図を十分に理解し、ノイズを最小限に抑えます。また、構造および機能CDC解析も統合しており、フォーマル・ベースの機能CDC解析が可能です。また、ユーザーはSystemVerilogアサーション(SVA)を生成して構造解析用に作成したCDCプロトコルおよびアサンプションを検証するといったことも柔軟に行えます。
メタスタビリティの原因としてはクロック・ドメイン・クロッシング(CDC)がよく知られていますが、同じクロック・ドメイン内での非同期リセット・クロッシングが原因となることもあります。しかも、マルチフェーズ電源ブート・シーケンスの利用拡大、およびソフトウェア・スタックによるソフトウェア非同期リセットの増大により、非同期リセットの使用はますます一般的になりつつあります。このため、デザインが仕様どおりに動作することを保証するサインオフにおいて、リセット・ドメイン・クロッシング(RDC)検証も欠かせない要素となっています。
VC SpyGlass™ RDCは非常にスケーラブルなRTLサインオフ・プラットフォームVC SpyGlassを基盤としており、包括的なメソドロジとスケーラブルな検証容量によって高いデバッグ生産性と高品質なサインオフを可能にします。また、多くの電源ドメインによってRDCが複雑化している現在、最高品質の包括的なサインオフを達成するには、UPFでインストルメンテーションしたRTL(すなわちスイッチおよびISOデバイスの実際の 接続)に対するRDC解析も不可欠となっています。