メタレンズとは?

定義

光学技術における最先端のイノベーションであるメタレンズは、通常の湾曲したレンズではありません。

メタレンズは光を集光させるメタサーフェスを使用した平らなレンズです。

メタレンズは、その形状と表面により従来の曲面レンズとは異なります。一般的にカメラのような曲面レンズの組み合わせは、センサーや目などの受光器に向かう光を操作するために使用されます。様々な像の収差を補正するために、通常は複数のレンズが必要です。しかし、レンズのスタックはスペースを取るため、スマートフォンカメラやAR/VRシステムのようなコンパクトなシステムでは考慮が必要です。

a) 一般的な曲面レンズの光線追跡 
b) メタレンズの光線追跡

メタレンズはどのように機能し、どのような問題を解決するのか?

メタレンズは通常、メタアトムと呼ばれる数百万のサブ波長ユニットから構成され、メタサーフェス全体に渡って局所的かつコヒーレントに光を変調します。各メタアトムの形状やサイズは、メタレンズの全体的な性能に基づいて局所的に決定されます。

サブ波長のナノ原子は光の位相を遅らせることができ、表面に適切に配置されれば、メタレンズは古典的な曲面レンズと同じ所望の位相プロファイルを作り出すことができます。さらに、パターン化されたレイアウトは、リソグラフィ技術で大量生産できます。

メタレンズは、次世代のコンパクトイメージング、センシング、ディスプレイアプリケーションを可能にする重要な技術になり得ます。メタレンズには、単一の光学部品で非常に複雑な波面光学を実行できるという利点もあり、さまざまなアプリケーションにとって非常に有用です。

メタレンズの物理的特性(薄い/平ら/軽量)は、特にスペースと重量が懸念される場合に非常に有効です。メタレンズは、曲面レンズを薄くて平らな面に置き換え、従来のレンズよりも光学的な安定性と集光品質を向上させることで、最も重要な光学製品の最小化に役立つ可能性を秘めています※1。

メタレンズは製造が容易で、コスト効率が高く、他の技術との組み合わせた利用に適しています。さらに、偏光などの優れた光の操作性により、メタレンズは光学設計のイメージを高め、新たな可能性を切り開く可能性があります。

 

参照

※1:Electro-Optics article: https://www.electrooptics.com/viewpoint/automation-new-approach-metalens-design

シノプシスの先進的なメタレンズ設計ツール

シノプシスは、メタレンズの設計/シミュレーション/製造を正確かつ効率的に行うための業界をリードするツールおよびソリューションを提供し、新しいイノベーションの世界をサポートしています。


主なメリット

メタレンズ設計フロー

Metalens Design Flow using Synopsys Optical Design Tools

メタレンズ設計プロセスの合理化

メタレンズ設計には時間がかかり、光学システムへの統合には独特の課題がありますが、以下のツールでメタレンズ設計を合理化できます。

  • MetaOptic Designer 
    • ユーザーが指定する基準に基づき、最適な性能を持つメタレンズやメタサーフェスを迅速かつ簡単に生成する逆設計機能を備えた完全自動化ツール
    • 各メタサーフェスの設計パラメータを自動的に決定
    • GDSII と最適化結果をエクスポート
    • RSoft Photonic Device ToolsCODE Vの統合
  • CODE V MetaOptic Designモジュール
    • メタサーフェスの設計が可能
    • 屈折レンズとメタレンズの最適化
    • 誤差関数を使用、変数と制約条件を設定可能
    • 製造用に設計をGDSIIファイルにエクスポート
  • 光学散乱測定器
    • メタサーフェスのファーフィールド分布のシミュレーション結果と実測結果を比較
    • 追加の特性測定オプションでスペクトル検出と偏光の機能を活用
MetaOptic Designer Workflow

正確で効率的なシミュレーション

シノプシスのメタレンズ設計ツールは、効率的で正確な結果を得るための高度なシミュレーション機能を提供し、計算負荷と時間を削減します。また、製造結果を予測して製造可能な設計に最適化し、材料特性やプロセスの制限に対処します。

これにより、マスク製造やエッチングなどの課題を乗り越え、革新的で実用的な設計を実現します。

MetaOptic Designer | Synopsys

性能指標の評価と最適化

MetaOptic Designerを使用することで、異なる出射/ターゲットパターンや、効率/帯域幅/収差補正など、複数の性能指標を同時に考慮して最適化できます。また、このツールは、従来のレンズとメタレンズのハイブリッド光学系をサポートします。さらに、システム内の他の部品とのシームレスな統合と互換性のチェックを容易にし、設計したメタレンズが光学システム全体でシームレスに機能することを保証します。

Example of validation process using REFLET 180S of a metagrating designed with MetaOptic Designer

FDTDと実測の検証

以下のツールで設計を検証します。

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