SiliconSmart®は、スタンダード・セル、I/Oセル、複雑なセルおよびメモリの包括的なキャラクタライズ・ソリューションです。シノプシスのデジタル・インプリメンテーション・ツールと緊密に連携する高精度のモデル・ライブラリを生成します。内蔵されたFineSim™シミュレーション・テクノロジと、業界標準のHSPICE®回路シミュレータとの緊密な統合により、高精度にキャラクタライズおよびサインオフできます。SiliconSmartはNLDM(非線形遅延モデル)、CCS(複合電流源)、AOCV(高機能オンチップ・バリエーション)などのあらゆる標準モデルに対応しています。
SiliconSmartとHSPICEおよびPrimeTimeとのプラットフォームレベルの統合によりサインオフ品質のライブラリを保証
精度の良いライブラリ・キャラクタライズは、デジタル・インプリメンテーションを成功させるための基礎です。合成/配置配線/検証/サインオフ用のツールは、デジタル/メモリ設計のタイミング、ノイズ、パワーの性能を正確に表現する詳細なモデル・ライブラリが必要です。プロセス・ノードの微細化に伴ってセル・ライブラリは急激に複雑化しています。微細化したノードでは、プロセスのばらつきを考慮するために多数のコーナーの高速なキャラクタライズが要求されます。さらに、ファウンドリがSPICEモデルを更新するたびにキャラクタリゼーションの実行が繰り返されます。低消費電力SoC設計では、マルチビット・フリップ・フロップ、多電源電圧レベル・シフタ、リテンション・ロジックなどの複雑なセルを導入することにより、キャラクタリゼーションのプロセスがさらに複雑になります。複数のパワー・ドメインにわたって、効果的にデジタル・インプリメンテーションするには、このようなセルを精度良くキャラクタライズする必要があります。
HSPICEとPrimeTime®スイートを最適に連携するサインオフ品質のライブラリ
包括的なソリューション
高性能とプリキャラクタリゼーション最適化
先進ノードに対応
SiliconSmartは、スタンダード・セル、複雑なセル、I/Oセル、メモリをキャラクタライズする、単一のソリューションです。
20nm以下のプロセス・テクノロジに対応するスタンダードセル・ライブラリでは、特に超低電圧で動作するモバイルICアプリケーションにおいて、きわめて高精度のタイミングおよびノイズ・モデルによって信頼性の高いスタティック・タイミング解析のサインオフを確保する必要があります。チップの動作電圧はトランジスタのスイッチング電圧と近似している場合が多いため、タイミングおよびノイズ・モデルのわずかな誤差がスタティック・タイミング/ノイズ解析に大きな誤差をもたらす可能性があります。これはキャラクタライズとスタティック・タイミング解析ソリューションの両面で考慮する必要がある、先進ノードに見られる新しい現象です。先進ノードのキャラクタライズに必要とされる精度を確保するため、SiliconSmartのモデル生成ではPrimeTimeおよびHSPICEの緊密なキャリブレーションによりコリレーションと精度を高めます。
SiliconSmartは、内蔵されたFineSim SPICEシミュレータおよびHSPICEとの緊密な統合により、高いキャラクタライズ処理能力を実現します。SiliconSmartは測定コマンドを、シミュレーション・アークに上手に組み込んで、シミュレーションの数を最適化し、パラレル・キャラクタリゼーションによってこのプロセスを高速化します。状況適応型のパラレル・ジョブ・マネージャがコンピュータ・サーバのネットワークにシミュレーションを分散し、CPUの性能とジョブのキューイング・プラットフォームに基づいてCPU負荷を自動調整します。キャラクタリゼーションのスループットは、追加CPUに応じて直線的に向上します。SiliconSmartの標準構成は5CPUをサポートしますが、この数はCPU数やシミュレータのライセンス数に応じて増やすことが出来ます。
SiliconSmartは、CMOSトランジスタレベル・セルのネットリストを読み込み、スタティック構造解析を実行して、自動的にファンクションを決定します。この解析は、Channel Connected Block(CCB)分割と、プライマリ入出力間のロジック・コーンのトレースにより、単純なスタンダード・セルからリテンション・ロジックやI/Oセルに至るまで、あらゆるセルを処理します。自動ファンクション認識機能によって決定した回路トポロジから、SiliconSmartはベクタを生成し、セルのすべてのアークの可能性をシミュレートします。自動的に生成されたベクタは、必要なスティミュラスをすべてカバーし、アークの漏れやモデルの精度を損なう事なく、シミュレーション数を最小化し、セルのキャラクタライズを行います。
セルの特定のパスをキャラクタライズするために、SiliconSmartは、従来からあるユーザー定義ファンクションや入力ベクタもサポートしており、モデル生成を行うために、セルの初期化順序や測定を指定することが可能です。
自動ファンクション認識機能やベクタ生成により、既存の.libファイルであらかじめ定義されたファンクションを使わなくても構いません。この自動化は、差動信号や、プログラマブル・セルの可変モード等を扱う豊富な機能をサポートし、柔軟かつ容易に設定を行い、キャラクタライズできます。
SiliconSmartでは、最終的なシミュレーションを行う前に、さらに自動的に生成されたベクタを解析することができます。このプリキャラクタリゼーション処理には、複数ある、状態固有のキャラクタリゼーション条件(ベクタ・ビンニング)の共有と、内蔵されたシミュレータの呼び出しを含み、これらのベクタをビンに迅速に等級分けします。ユーザー定義の許容誤差レベルでコントロールできるため、ベクタ全体を異なるビンに分類することができます。1つのビンに対して必要なシミュレーションは一個だけです。同じビンにある他のベクタは、生成されたモデルでは、同じ測定値で表わされます。これにより、キャラクタリゼーションにかかる全体的な時間を大幅に短縮できます。
SiliconSmartは、広範な制約メソドロジをサポートし、標準的な設計フローから超高性能アプリケーションまで対応し、歩留まりと性能を最大限に延ばすことができます。たとえば、順序セルの内部ノードをサンプリングして、グリッチを見つけ出し、セットアップ/ホールド制約に見られる潜在的な楽観性を排除できます。また、異なる設計スタイルに対応するために、セットアップ・チェックとホールド・チェック間の依存性を考慮するさまざまな方法も提供します。
SiliconSmartのコンストレイント・アクセラレーション技術は、従来時間がかかっていた、制約を測定する処理時間を短縮します。
SiliconSmartはプロセスばらつきのモデリング機能を備え、AOCV(高機能オンチップ・バリエーション)とPOCV(パラメトリック・オンチップ・バリエーション)をサポートしています。POCVモデルは、ランダムなプロセス・バリエーションによるタイミングの影響をモデリングする効率的で手軽な手法です。POCVは新しいモデリング手法として登場し、16/14nmプロセス・テクノロジでの過剰マージン設計の問題解決を意図しています。シノプシスは、半導体産業をリードするシリコン・ファウンドリ、半導体企業、IPプロバイダ、EDAツール企業、IEEE-ISTO標準規格団体などと協力してこの技術の普及を目指しています。
メモリ・インスタンス(デザイン・ネットリスト、フィジカル・レイアウト、電子モデル)は、メモリ・コンパイラによって生成されます。メモリ・コンパイラは、最小サイズ1個、最大サイズ1個、中間にあるサイズの幾つかの、非常に限られた数のメモリ・インスタンスをシミュレートして、モデリング用の独自のデータベースを構築します。このメモリ・コンパイラ・モデル・データベースに含まれていない新しいインスタンスについては、メモリ・コンパイラは特定の多項式に合うように内挿や外挿を行います。この近似式を使用した場合、モデルが不正確になることは避けられません。SiliconSmartは、このようなインスタンスを、精度よくかつ迅速に再キャラクタライズすることにより、精度の悪さを取り除きました。
SiliconSmartメモリ・ソリューションには以下の特長があります。
以下のような再キャラクタライズ・アプリケーションに対応します。
SiliconSmartには、クローズド・ループ・ライブラリ検証機能が搭載されています。この機能は、セルのファンクションと、データ精度を事前にキャラクタライズされたゴールデン・ライブラリとを比較し、Liberty形式とVerilog形式間で矛盾の無いモデルを実現します。
SiliconSmartの入出力